注力分野 – 相続
COLUMN 01
遺産相続・遺産分割
財産調査を綿密に行い、公平な遺産分割実現を目指します。
税理士・不動産業者等と連携してワンストップで解決いたします。
このようなお悩みがあればご相談ください。
- 長男が通帳を管理していて、内容を開示しない。
- 生前または死亡後に預貯金から勝手に多額の払い戻しがされている。
- 相続人の1人が遺産を独り占めしようとしている。
- 他の相続人に対して生前贈与が多数ある。
- 長男にすべて渡すという内容の遺言書が発見された。
- 遺産の不動産を売却したいが、相続人間で折り合いがつかない。
相続・遺産分割協議とは
人が亡くなると、その財産は配偶者、子ども、親、兄弟姉妹等が受け継ぎます。これを相続といいます。亡くなった人のことを被(ひ)相続人、財産を相続する人のことを相続人と呼びます。
相続が発生した場合、通常、まずは相続人同士で遺産分割の話し合いをします。この話し合いを遺産分割協議といいます。遺産分割協議で話がまとまれば問題はありません。しかし、相続をきっかけに、色々な問題が表に出てきてしまい、話し合いがまとまらないことも少なくありません。
相続を巡って親族とトラブルになると気が滅入ります。また、遺産分割協議の場では、しばしば、感情が先に立ってしまうことがあります。こうなると話し合いで解決することはできません。
そのようなときこそ弁護士にご相談ください。弁護士が窓口となり、相手方との交渉、裁判手続までお引き受けします。
税理士との連携
遺産分割協議と相続税の申告は密接に関連しています。
このようなことでお困りではありませんか。
- 相手方の選んだ税理士が信頼できない。
- 相続税の申告をするための資料を渡してくれない。
このような場合でも税理士と連携して対応します。
不動産業者との連携
このようなことでお困りではありませんか。
- 遺産の中に不動産がある。
- 遺産となる不動産を売って分割したい。
不動産を巡って紛争となるケースもあります。
当事務所は、遺産分割の代理人や相続財産管理人・破産管財人として多数の不動産を処理してきました。
マンション、宅地、賃貸物件等の不動産の種類に応じた不動産業者と連携して対応します。
COLUMN 02
法定相続
遺言がない場合、誰が、どれだけ相続するのかが民法に定められています。
相続人
配偶者(夫、妻)がいる場合、配偶者は常に相続人になります。
配偶者以外は、1. 子ども、2. 直系尊属(父母、祖父母など)、3. 兄弟姉妹の順番で相続人になります。子どもがいないときは直系尊属が相続人になり、子どもも直系尊属もいないときに兄弟姉妹が相続人になります。
法定相続分
以下のとおり、それぞれの相続人がどれだけの割合で相続するのかも民法で定められています。この割合のことを法定相続分といいます。
(配偶者 | + | 子ども) |
---|---|---|
1/2 | 1/2(人数により頭割り) | |
(配偶者 | + | 直系尊属) |
2/3 | 1/3(人数により頭割り) | |
(配偶者 | + | 兄弟姉妹) |
3/4 | 1/4(人数により頭割り) | |
(配偶者がいないとき) | ||
「子ども」、「直系尊属」又は「兄弟姉妹」の頭割りになります。 |
以上の法定相続分は、「特別受益」や「寄与分」によって修正を受けます。
特別受益
共同相続人が、生前に、または遺言によって被相続人から特別な利益(生計の資本としての贈与)を受けていることがあります。この特別な利益のことを「特別受益」と呼びます。このような場合は、計算上、その利益を受けた額を遺産に持ち戻して相続分を計算し、利益を受けた額については既に受け取ったものとみなします。
以下の例で考えてみましょう。
遺産: | 4000万円 |
---|---|
A: | Xから生前贈与2000万円 |
B: | 生前贈与なし |
このような場合、Aが生前贈与を受けていた2000万円を遺産の4000万円に加えます。これを「持戻し」と呼んだりしますが、Aが現実に2000万円を支払うわけではありません。あくまで計算上のことです。
遺産4000万円 | + | 特別受益2000万円 | = | 6000万円(みなし相続財産) |
持ち戻した後の計算上の金額を「みなし相続財産」と呼びます。このみなし相続財産に法定相続分を乗じ、特別受益を受けているものは、特別受益を受けた額について既に遺産を受け取り済みであると考えます。
A | 6000万円(みなし相続財産) | × | 1/2 | = | 3000万円 |
---|---|---|---|---|---|
3000万円 | - | 2000万円(特別受益) | = | 1000万円 | |
B | 6000万円(みなし相続財産) | × | 1/2 | = | 3000万円 |
以上のように、それぞれの法定相続分は修正されて、Aは1000万円、Bは3000万円を相続するという結論になります。このように特別受益や寄与分によって修正された相続分を具体的相続分といいます。
以上が特別受益の制度ですが、被相続人から何らかの財産的な利益を受けていても、「生計の資本としての贈与」に該当しなければ特別受益とはならないことに注意が必要です。この判断は法的に慎重な検討をする必要があります。
寄与分
たとえば、相続人が被相続人の事業を手伝っていた場合、被相続人の生活費等の援助をしていた場合、被相続人の療養看護をしていた場合等、相続人の特別の寄与により被相続人の財産が維持または増加をしたときは、「寄与分」が認められます。
寄与分が認められる場合、まず、被相続人の財産から寄与分を控除したものを相続財産とし、その相続財産を法定相続分に応じて配分します。
そして、寄与をした者は、法定相続分に応じて決まった配分に、控除されていた寄与分を加算した額の財産を相続することになります。
寄与分の額は、原則として相続人間の協議で決定します。協議により決まらない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てて決めることになります。
以下の例で考えてみましょう。
遺産: | 4000万円 |
---|---|
A: | 寄与分1000万円 |
B: | 寄与分なし |
このような場合、Aの寄与分1000万円を遺産の4000万円から控除します。
遺産4000万円 | - | 寄与分1000万円 | = | 3000万円 |
控除した後の金額を「みなし相続財産」と呼びます。
このみなし相続財産に法定相続分を乗じ、寄与をしたAについては、相続分に寄与分を加算します。
A | 3000万円(みなし相続財産) | × | 1/2 | = | 1500万円 |
---|---|---|---|---|---|
1500万円 | + | 1000万円(寄与分) | = | 2500万円 | |
B | 3000万円(みなし相続財産) | × | 1/2 | = | 1500万円 |
このように、それぞれの具体的相続分は、Aは2500万円、Bは1500万円という結論になります。
ただし、寄与分が認められるのは、「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」といえる場合に限られます。この判断は法的に慎重な検討をする必要があります。
COLUMN 03
遺留分と遺留分侵害額請求
遺留分
民法では以下のとおり法定相続分が定められています。
(配偶者 | + | 子ども) |
---|---|---|
1/2 | 1/2(人数により頭割り) | |
(配偶者 | + | 直系尊属) |
2/3 | 1/3(人数により頭割り) | |
(配偶者 | + | 兄弟姉妹) |
3/4 | 1/4(人数により頭割り) |
しかし、例えば、共同相続人の1人に全ての遺産を相続させるなどの遺言により法定相続分が侵害される場合があります。
このような場合、兄弟姉妹を除いた法定相続人は、法定相続分の半分を確保することができます。これを遺留分といいます。遺留分は、男女の平等や扶養や受けていた相続人の生活を守るためなどに認められています。
なお、ここでは、一応、法定相続分の半分が遺留分という簡単な説明をしましたが、特別受益による修正を受けるなど、遺留分の算定は非常に難しい問題です。具体的な遺留分の額はご相談下さい。
遺留分侵害額請求
遺留分を請求するかどうかは遺留分を有する人の自由です。したがって、遺留分を請求しないこともできます。
逆に、遺留分を請求する場合は、相続があったこと及び自らの遺留分が侵害されたことを知った日から1年の間に、遺留分を侵害している相手方に対し、遺留分侵害額請求という意思表示をしなければいけません。
1年を過ぎてしまえば、時効により遺留分を請求できなくなってしまいます。そのため、遺留分が侵害されていることがわかったら、なるべく早く遺留分侵害額請求をするかどうかを決める必要があります。
また、通常、遺留分侵害額請求は、1年以内に間違いなく減殺請求をしたことを後々争われないように、配達証明付き内容証明郵便によって行います。
遺留分侵害額請求の進め方
一定程度の遺産の調査を行い、まずは内容証明郵便により遺留分侵害額請求の通知をします。
その後、さらに詳細に預貯金、保険、不動産等の遺産の調査を行い、遺留分侵害額を正確に確定します。
その他にも特別受益の有無も遺留分の金額に大きな影響を及ぼしますので、調査をする必要があります。
これらの作業を行って遺留分を計算した後、相手方と交渉をして、交渉がまとまらなければ、裁判所での手続をとることになります。
COLUMN 04
相続のよくあるトラブルと解決方法
兄が遺産を独占しようとしています
[ 相談 ]
父が亡くなりました。遺言はありません。相続人は長女の私と長男の兄です。長男が、「お前は家を出た立場だ。家を継いで先祖の墓を守っていくのは自分だから遺産は全て自分が相続する。」と主張して譲りません。
[ 回答 ]
相続する割合は法律により決まっています。兄弟姉妹2人が相続人となる場合、法定相続分は2分の1ずつとなります。
現実として、このような相談を受けることはよくあります。戦中、戦前は家督相続制度があっため、基本的に長男が全面的に相続するとされていたこともあり、今でも長男が優先されるべきだとの考え方を持つ方がいるかもしれません。しかし、現在ではこのような主張は認められません。
多額の生前贈与があります
[ 相談 ]
父が亡くなりました。遺言はありません。相続人は長女の私と長男です。
長男は、父が亡くなる3年前に自宅を建てているのですが、その際に1000万円の援助を受けたと聞いています。また、長男が結婚式を挙げた際も、父は費用500万円を支払ったそうです。
そのため、父が亡くなったときには預貯金はなく、自宅の土地・建物あわせて3000万円の価値がある不動産が遺されました。
[ 回答 ]
相続でトラブルとなるケースの1つとして、多額の特別受益があるケースが上げられます。兄弟姉妹2人が相続人となる場合、法定相続分は2分の1ずつとなりますが、特別受益によって修正されます。
共同相続人が生前に被相続人から「生計の資本」のための贈与を受けていた場合には、「特別受益」とされ、贈与を受けていた額を遺産に戻したとして遺産を計算し、その額は既に受け取り済みとして相続分を算定します。
「住宅資金」の1000万円は、通常、特別受益となります。
しかし、「結婚式の費用」は、親が親自身のために支出したものであり、原則として、特別受益とはならないと考えられます。
相談のケースでは以下のとおりとなります。
- 3000万円(不動産)+1000万円(特別受益)=4000万円(みなし相続財産)
- 4000万円÷2=2000万円
- 長女の相続分 2000万円
- 長男の相続分 2000万円-1000万円(特別受益)=1000万円
亡くなる前後に多額の払い戻しがあるようだ
相続でトラブルとなるケースの1つとして、亡くなる前後に多額の預金が払い戻されているというものがあります。
被相続人の意思によって払い戻しがされている場合は特別受益となることがあります。
一方、被相続人の意思に基づかずに払い戻され、被相続人の利益のために使用されなかった場合には、不法行為または不当利得として返金を求めることができる場合があります。
このような場合、可能な限りの取引明細を金融機関から取り寄せる等して調査します。
その上で、亡くなった方の意思に基づく払い戻しなのか、亡くなった方の意思に基づかない払い戻しなのかなどの法律的な検討を加え、意思に基づかない払い戻しであれば、訴訟で返還を求めることもできます。
意思に基づく払い戻しであったとしても、相続人が利益を得ていれば、特別受益として遺産分割の中で考慮することができます。
遺留分が侵害されました
[ 相談 ]
父が亡くなりました。相続人は長女の私と長男です。
亡くなる前に父からは「株式が1000万円くらい、預金が3000万円くらいある。」と聞かされていました。
しかし、葬儀が終わった後に長男より遺言書を見せられ、遺言には、全財産を長男に相続させるという趣旨のことが書いてありました。
[ 回答 ]
被相続人は遺言で全ての遺産を贈与することもできます。この場合は法定相続分にしたがって分けることにはなりません。
しかし、遺言が遺留分を侵害している場合、遺留分権利者は、遺留分を侵害して遺産を取得している者に対して、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分は簡単にいえば法定相続分の半分ですが、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。
相談のケースでは、法定相続分は1/2ですから、さらにその半分の1/4の遺留分があることになります。したがって、4000万円の1/4である1000万円の遺留分があることになります。
なお、遺留分で注意しなければならないのが時効です。相続が開始し、遺留分が侵害されていることを知ったときから1年間行使しないときは時効によって消滅してしまうので、速やかに遺留分侵害額請求の通知をしなければなりません。遺留分侵害額請求は、内容用証明郵便等、証拠が残る形式で行う必要があります。
話し合いができません
[ 相談 ]
私は夫と長男と3人で暮らしてきました。先日、夫が亡くなりました。遺言はありません。実は、夫には前妻との間に子どもが1人います。夫は一回も会ったことがなかったそうです。
夫が亡くなった後に手紙を出したのですが返事がなく、自宅を訪ねたら、子どもではなく前妻が出てきて話になりませんでした。
[ 回答 ]
遺産分割の協議をしようとしても話し合いができないことは多くあります。
相続でトラブルとなるケースでは、感情的な問題が根っこにある場合がほとんどです。そのような場合は、どうしても、顔を合わせたり、直接話をしたりすると感情を押さえることができません。
弁護士に代理人となることを依頼し、間接的に話し合うことをおすすめします。
相続人の1人が行方不明です
[ 相談 ]
父が亡くなりました。遺言はありません。遺産は預貯金と実家の土地・建物で、相続人は長女の私と長男です。しかし、長男は10年前から連絡がつかず、どこにいるかは全くわかりません。
[ 回答 ]
法定相続分は2分の1ずつです。
まずは、住民票を取得して居所を調査することになります。
それでも見つからない場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをする方法があります。家庭裁判所が失踪を宣告すると、失踪者は死亡されたものとみなされます。したがって、相談者が1人で全て相続することになります。
また、失踪宣告が認められない場合には、預貯金だけであれば、一定の額を払い戻すことができます。
「相続税を払わなければいけない」「不動産の名義人が名前も聞いたことない曾祖父になっている」
事案に応じて、相続税、登記の手続も当事務所でコーディネート致します。
COLUMN 05
遺言書作成
遺言書の書き方がわからない
遺言にはいくつかの種類がありますが、一般的なものは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。
簡単にいえば、自分自身で作成するものが自筆証書遺言で、公証役場で公証人と作成するものが公正証書遺言です。遺言は、民法に定められた方式に従って作成しなければ無効となります。せっかく遺言を作るわけですから、法的な要件に不備のないように作る必要があります。また、後に相続人間でのトラブルに発展しないよう十分に配慮した内容の遺言書にする必要があります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを知りたい
自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットはそれぞれ裏表の関係にあります。
自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で作成する遺言のことです。遺言者が遺言書の全文、氏名、日付を手書きし、押印して作成します。ただし、法改正により、財産目録の部分は手書きでなくともよいことになりました。
自筆証書遺言には、証人や立会人が必要ないため、手軽に作成することができ、作成費用もほとんどかからないというメリットがあります。
しかし、遺言書が発見されないまま遺産分割が行われる可能性や、遺言書が発見された場合でも密かに破棄・隠匿されてしまう可能性があります。また、財産目録の部分を除いては、パソコンで作成することはできませんし、もちろん第三者に代筆してもらったりすることはできません。その他、専門家の関与を必ずしも必要としない反面、内容が不明確で相続人に伝わらなかったり、相続人間でのトラブルに発展したりする可能性もあります。
公正証書遺言とは、公証役場で公正証書として作成する遺言のことです。証人(未成年のほか、推定相続人等の利害関係のある人は証人になることができません。)2名以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝え、公証人がその内容を筆記します。そして、筆記が正確であることを遺言者と証人が確認し、署名・押印することで遺言書が完成します。
公証人が作成するので遺言の趣旨が不明瞭になったり、形式の不備により無効になったりするおそれはありません。また、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されるので、紛失や破棄・隠匿のおそれがないというメリットもあります。
しかし、公証人が関与し、証人2名も必要となりますので、多少の費用がかかります。そのため、自筆証書遺言と比べて作成が手軽ではありません。また、選んだ証人によっては、遺言の内容が相続人等に漏れてしまう可能性もあります。
なお、令和2年7月10日に施行された改正法により、法務局が自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。遺言書の紛失や隠匿等が防止され、また、遺言の存在の把握が今までよりも容易となり、自筆証書遺言のデメリットが減少しています。
遺言書作成を弁護士に依頼するメリットを知りたい
遺言書作成を弁護士に依頼すれば、例えば、
- 公正証書遺言の作成にあたり、弁護士と事前に十分な打合せをすることで、作成後の作り直し等が必要ない内容の遺言を作成することができる。また、弁護士を立会いの証人とすることで、遺言の秘密を守ることができる。
- 自筆証書遺言の作成にあたり、弁護士からの十分なアドバイスを受けることで、内容が明確でトラブルが起きにくい遺言を作成することができる。また、作成した自筆証書遺言を弁護士に保管させることで、紛失・隠匿・破棄等を防ぐことができる。
- 遺言作成とともに遺言執行者に紛争解決の専門家である弁護士を指名しておくことで、遺言者が亡くなった後に相続人間でトラブルが発生した場合でも、遺言者の思いに沿った相続を実現することができる。
等のメリットがあります。
また、遺産の調査や前提となる戸籍の取寄せも手間のかかる作業です。これらについても、弁護士がお引き受け致します。その他、その他、事案に応じて、相続税、不動産の登記の手続も当事務所でコーディネート致します。